小中学生トコトンチャレンジは、実験やものづくり、自然観察など、トコトンやりたいテーマを募集し、入賞した人にサポートを提供して応援するプログラムです。2025年度は12名が受賞。5月~12月までの約7か月間、それぞれのテーマに取り組みました。
2025年12月14日に東京科学大学で「成果発表会」を開催。受賞者のうち10名の発表がありました。それぞれのテーマについて紹介します。
最優秀賞
熊川 瑞人・小学5年「火星を屋久島化する!!」


映画を見て火星の緑化に興味を持った熊川さん。火星の土壌環境を再現し、植物を植えて育つのかを調べるのが研究テーマ。以前訪れた屋久島で、岩が多い環境だが豊かな緑がある様子を見て、火星の緑化も実現できるのでは、と思ったことがきっかけだそう。
まず、火星の土壌の成分を調べ、市販の材料で火星の模擬土を製作。さまざまな植物を植えたところ、塩分の強い模擬土では、海岸の植物が枯れずに育ちました。火星の土壌では塩分に強い植物が有効ではないかと考察。今後は水や二酸化炭素の確保などの課題も研究予定です。
安藤 然・小学5年「月面環境でまっすぐ走るローバーを完成させたい」


月面のような環境で走るローバー(探査車)をつくるという研究テーマ。ボディーと車輪をプラスチック段ボールで製作。プログラミングでモーターを制御する4輪駆動のローバーが完成しました。(写真)
砂地での実験を繰り返し、さらに月の砂(レゴリス)を模した模擬砂での実験を求めて、模擬砂を製造・販売する清水建設株式会社の協力を得ることができました。今後、模擬砂での実験を目指して改良を進めています。さらに、月の重力環境での動作や、距離センサーの改良などステップアップも計画中です。
前川 鈴・小学3年「墨を落とせる洗剤を作りたい」


ファッションが大好きな前川さん。書道の先生であるお母さんが墨の汚れに苦労しているのを見て、墨を落とす洗剤を作つくる研究を開始。
初めに、さまざまな洗剤で墨汚れを洗って落ち方を比較(写真)、意外にも歯磨き粉がよく落ちることを発見しました。続いて、オリジナルの洗剤を製作。成分は、すすやタンパク汚れを落とす酸素系漂白剤+墨に含まれる“にかわ”を落とす炭酸ナトリウム+肌刺激をやわらげる重曹です。しかし、この洗剤では思ったような効果は得られませんでした。今後は、研磨剤を入れた洗剤の開発などを計画しています。
坂田 亮真・中学1年「寝るのってマジでつまらない!もっと楽しく快適に寝られる未来の枕・ドリームマクラの開発」


坂田さんが開発したのは快適に眠れる「ドリームマクラ」。次の4つの機能を装備しました。①枕に埋め込んだスピーカーから快適な音楽を再生。②自動空気送入バルブ構造で自由に高さを調節。③開発した専用アプリのアラームをセットすると自動的にスマホの画面が消灯、睡眠時間の記録をとる。④枕に寝た状態で見られる距離に取り付けた板に、スマホを利用したプロジェクターからリラックス映像を投影。
このマクラでの睡眠とそれまでのマクラでの睡眠を、アプリの評価機能を使って検証したところ、評価が上がったそうです。
佐藤 迪洋・中学3年「リハビリテーション研究」


お母さんが指を骨折し、リハビリしている様子を見て、関節周囲の筋肉や腱が固まる「拘縮」の症状改善に効果があるリハビリ方法を調べた佐藤さん。さまざまなリハビリをお母さんに実施し、効果を検証しました。
家庭で実践できる方法として、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚など、感覚に働きかけるリハビリを行ない、指の可動域が広くなったかを検証。結果、「緑を見る」(視覚)、「ハーブティーを飲む」(味覚)の2つの方法で効果が見られました。しかし、時間経過に伴う治癒の可能性もあるなど、佐藤さんは客観的な分析を行なっています。
稲生 円・小学4年「アニサキスをペットとして広めたい」


魚の寄生虫であるアニサキスに興味を持っている稲生さん。飼育をしてみたところすぐに死んでしまったことから、アニサキスの生態を調べ、より長く生きられる飼育方法を研究しました。まず、人工海水、顆粒だし+浄水など、水の種類によってどれくらい生きるかを調べました。
結果、どの水でも100日以上生存し、その後も継続して飼育をしています。また、アニサキスが柔らかいものに侵入する習性があるのではと推測し、人工海水でつくったゼリーでの実験(写真)や、エポキシレジンでミニ水槽をつくるなど、飼育環境の研究を続けています。
審査員特別賞
吉岡 悠・小学4年「実物の深海生物を持って観察できる標本3D図鑑の制作」


深海生物に興味がある吉岡さんは、深海生物の形や生態をわかりやすく伝えるために、実物を図鑑にするアイデアを考えました。深海生物を採取し、乾燥させてレジン液で固めた「3D図鑑」をつくる計画です。
まず、自分で深海生物の採取を試みましたが、捕れなかったため、深海生物専門の漁師さんに頼み、漁に同行。数回の漁の後に、オオグソクムシを捕ることができました。標本にしてからレジンで固め、それをページの中に組み込んだ図鑑(写真)を製作しました。
古山 青葉・小学5年「元素の可能性を説明してくれるゲーム作り」


元素周期表が大好きな古山さんは、たくさんの人に元素について興味を持ってもらうために、118種すべての元素が登場するゲームをScratchで製作しました。
ゲームは数種類あり、118種すべての元素のクイズ、元素周期表を使ったすごろく、元素記号によるしりとり、元素を2種類入力すると、組み合わせて「未来の道具」が現われるゲームなど、どれもユニークなゲームです。ゲームは公開していて、こちらから遊ぶことができます。
株式会社ガステック賞
白鳥 琴子・小学4年「藍染めの効果を調べたい!」


白鳥さんの研究テーマは「藍染」。藍染の持つ抗菌、防臭効果を自分で確かめる研究です。ハンカチを伝統的な方法で藍に染め、お風呂の残り湯に浸けたり、納豆を使って、菌の繁殖具合を調べましたが、普通のハンカチとの差は出ませんでした(写真)。
続いて防臭効果を調べました。気体検知管メーカーの株式会社ガステックの協力のもと、酢酸とアンモニアの臭気に対して藍染のタオルの消臭効果が出るかを検証。結果はアンモニアでわずかに臭気が少なくなりました。白鳥さんは、いつか、藍の効果を活かした商品を開発してみたいと考えています。
株式会社ロッテ賞
加藤 直樹・小学5年「ガムによる歯科ケアの研究


加藤さんのテーマは「歯科ケア」。自分の歯科矯正経験から、よく噛み、あごを発達させる重要性を知り、噛むことを習慣化し、健康に貢献できるものの開発を目指しました。加藤さんが着目したのはガム。噛むことによる効果と、歯の汚れをとる効果を期待しました。
株式会社ロッテのみなさんの協力を得て、乾燥させた野菜や果物をガムに練り込み、噛んで歯垢がとれるかを検証。いろいろな素材で実験していく中で、加藤さんは緑茶の茶葉で効果が高いことを導き出し、食後に噛む「いっぷく茶GUM」という商品プランにまとめました。
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