【コカトピ!】ティラノサウルス科の下顎化石を発見!

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文/土屋 健

熊本県で発見

 このたび、天草市立御所浦恐竜の島博物館と福井県立恐竜博物館は、「ティラノサウルス科の下顎の化石を発見した」と発表しました。

 その化石は、2014年10月に両館の調査で発見されたものです。熊本県天草郡苓北町に分布する姫浦層群下津深江層という地層を調べていたときに、その地層から転がり落ちたとみられる石(転石)を採集したそうです。その石に骨の化石が見えたため、天草市立御所浦白亜紀資料館で石から化石を掘り出すクリーニング作業が行われ、さらに化石の内部を調べるために福井県立恐竜博物館などでCTスキャンが行われた結果、その骨がティラノサウルス科の下顎骨(左歯骨と右歯骨)ということが明らかになったとのことです。

貴重な「年代のわかる化石」

 ティラノサウルス科は、肉食恐竜の代表として有名なティラノサウルス(Tyrannosaurus)を含むグループです。

 ティラノサウルスは約6600万年前の北アメリカの恐竜ですが、ティラノサウルス科の恐竜たちはアジアにも生息していました。例えば、約7000万年前のモンゴルなどに生息していたタルボサウルス(Tarbosaurus)もその1つ。タルボサウルスは、ティラノサウルスとよく似た姿をしていましたが、からだの大きさはティラノサウルスよりも一回り小型でした。

 ティラノサウルス科は北アメリカに出現し、北アメリカで進化を重ねてきたとみられています。その進化の中で、一部の種が北アメリカからアジアへと渡って、タルボサウルスなどへと進化したという説があります。ただし、とくにアジアのティラノサウルス科に関しては、まだ謎が多く、とくに大型種の進化に関してはよくわかっていないことだらけです。

 その謎の原因の1つが、「○年前」という年代値の不鮮明さです。大陸の内部でつくられた地層は、海や海辺でつくられた地層よりも年代値が絞りきれず、“誤差”が大きくなる傾向があります。年代値がわからないと、進化の順番も絞りきれません。

 このたび、熊本県天草郡苓北町で発見された化石は、約7400万年前のものとのこと。このように年代値がわかる化石は、ティラノサウルス科の進化を考える上でとても貴重です。

発見された下顎化石。左の歯骨を外側面から見たもの。(©天草市立御所浦恐竜の島博物館・福井県立恐竜博物館)

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