【8月のミッション】“1日1実験”にトライしよう《科学ミッションカレンダー2023》

 子供の科学2023年1月号別冊付録「科学ミッションカレンダー」8月のミッションページ。毎日実験するなんて大変そう…と思うかもしれないけれど、安心して! どれもお手軽にトライできるものばかり。ちょっと特殊な材料や道具が必要な実験もあるので、ざっと目を通して、早めに材料だけ用意しておくと安心です。8月が終わるころには、「試して調べる」力が自然と身についているはず。詳細にレポートをまとめれば、立派な自由研究にもなるよ!

目次

1.ミッションシートをダウンロードしよう

 まずは「1日1実験ミッションシート」をダウンロードしよう。
名前を書き込み、実験ごとに感想や疑問点を書き込みます。

 とはいえ、記入欄は十分なスペースがないため、簡単なコメントやメモを書く感覚で使ってください。実験の詳しいしくみや調べたいことなどは、メモを参考にしながらさらに深掘りし、別のノートや紙にまとめるのがおすすめです。

※ミッションシートのダウンロードにはコカネット無料会員登録が必要です。

2.日づけ別 実験の手順

 さぁ、1日1実験のスタートです! 31日分の実験がありますが、パーフェクトにできなくても問題ありません。また、好きな実験から先にやったり、1日にまとめて数種類を試したり、家庭の事情や自分のスケジュールなどを考えながらトライしてみてください。

 以下には、日づけごとに実験の手順をまとめています。難易度は、★の数が最大で3つで、多ければ多いほど難しいということ。「※火器注意」などとあるものは実験の際にとくに注意が必要なので、必ず大人と一緒にやるようにしてください。

 ミッションシートに感想を書き込む以外に、実験の様子を写真に撮ってみましょう。後で検証したり、自由研究にまとめたりするときに役立つはずです。

※ここで記した寸法や時間などは編集部で行ったときの値であり、目安として参考にしてください。自分で実験するときは、安全性に注意しながら、よりよい結果が得られるように工夫して試しましょう。

●8/1 水滴で拡大・縮小!? 50円玉レンズ

[難易度:★]

[おもな道具]
五円玉、スポイトまたはストロー、水

[やり方]
1:五円玉の穴にストローで水を1〜2滴たらし、水玉をつくる。
2:新聞紙の文字などに近づけて観察。
3:穴の水玉を指先で軽くぬぐって水を減らし、同じように観察する。

[しくみとヒント]
水が十分にあると、できた水玉はまん中がふくらんだ凸レンズの形になる。ルーペでも使われる凸レンズは、光を集めものを大きく見せる。軽くぬぐって水が少なくなると、水玉はまん中がへこんだ凹レンズの形になる。凹レンズは光を広げるので、ものが小さく見える。

●8/2 豆電球がピカッ モーター発電

[難易度:★★★]

[おもな道具]
模型用モーター、豆電球&ソケット、網戸の網を押さえるゴム、タコ糸

[やり方]
1:模型用モーターのリード線に豆電球のリード線をつなぐ。
2:モーターの軸に網戸の網を押さえるゴムを差し込む(すべり止め)。
3:軸にタコ糸を巻きつけ、勢い良く引っぱると豆電球が灯る。

[しくみとヒント]
モーターは磁石のそばにあるコイル(電線を巻きかさねたもの)に電流を流すことで、コイルが電磁石になって磁石と反応し、運動する力を生む。このときコイルを外からの力で動かすと、磁石との反応によって電流を発生させる発電機になる。つまりモーターと発電機は基本的なしくみは同じ。

●8/3 牛乳パックで! 水反動車

[難易度:★★]

[おもな道具]
牛乳パック、曲がるストロー、接着剤、タコ糸、水

[やり方]
1:牛乳パックの底に近い側面に穴をあけ、曲がるストローを2本差し込んで接着剤でとめる。ストローの先はたがいちがいに曲げておく。
2:牛乳パックの上の端にクリップなどを取付け、タコ糸でぶら下げる。
3:牛乳パックに水を入れると水がストローから流れ出し、手を放すと全体が回転する。

[しくみとヒント]
水は重力で下向きに引っぱられ、ストローで向きを変えて水平方向に流れ出す。流れ出すときの反作用によって、流れ出す向きと反対方向に力が生まれる。2本の流れの向きがたがいちがいなので、牛乳パックをつるした糸を中心に、回転する力になる。

●8/4 自由に変化!? せっけん膜

[難易度:★★]

[おもな道具]
針金ハンガーまたは太めの針金、縫い糸、中性洗剤、水、バットなど

[やり方]
1:針金ハンガーなどでわくをつくり、糸を2本はる。
2:石けん水につけて、針金と糸の間の全部にシャボン膜をはる。
3:まん中の膜(糸と糸の間の膜)をつついて破るとびっくりの変化!



[しくみとヒント]
シャボン膜は石けんの成分もふくまれているが、大部分は水。水のような液体は表面に引っぱる力(表面張力)がはたらいている。全部に膜があるときは引っぱる力はつり合っているが、まん中の膜が破れると左右の膜の引っぱる力によって、糸が左右に開く。

●8/5 しくみがわかる ロウソクの炎

※写真は竹ぐし1本で実験しています。下記のように4本をそろえて実験した方が効果がわかりやすいため、今回は4本で実験してください。

[難易度:★★]※火器注意

[おもな道具]
ロウソク、竹ぐし、セロハンテープ、チャッカマンなど

[やり方]
1:竹ぐし4本を平らにそろえて、端をセロハンテープでとめる。
2:竹ぐしの面を水平にして左右を持ち、ロウソクの炎の下の方(ロウソクの芯のすぐ上)に3秒間差し込んで引き出し、焦げぐあいを観察。
3:差し込む竹ぐしの部分を変えて同じように調べる。焦げのようすで炎の中の温度分布がわかる。

[しくみとヒント]
焦げのようすで炎の中の温度分布がわかる。炎の下のほうに差し込むと、竹ぐしの焦げあとは円になる。これは炎の中心部には酸素がじゅうぶんに届かないので、温度があまり高くならないため。
注意:竹ぐしが燃え出してしまったらすぐに取り出して火を消すこと。

●8/6 まるでマジック! コーラが水に

[難易度:★]

[おもな道具]
透明コップ、ヨウ素入りうがい薬、レモン汁またはビタミンC

[やり方]
1:ヨウ素入りうがい薬を4〜5倍ぐらいに水で薄め、コップに入れておく。
2:別のコップにレモン汁またはビタミンC粉末を少し(数mLまたは耳かき1杯ほど)を入れる。
3:1を2に静かにそそぐと、コーラ色が消えて水のように透明になる。

[しくみとヒント]
うがい薬のこい茶色(褐色)は、含まれてるヨウ素の色。これにビタミンCが作用するとヨウ素が還元されて(酸化の逆の反応)無色透明のヨウ化水素に変化するため、色がなくなって透明になる。うがい薬の濃さをうまく調節しよう。

●8/7 ストローが反応! 輪ゴム温度計

[難易度:★★]※針先注意

[おもな道具]
輪ゴム、割りばし、セロテープ、針(待ち針)、ストロー、お湯を入れたカップ

[やり方]
1:割りばしのまん中にビニールテープなどを2〜3重に巻きつけ、割る端をテープなどでしばってタテに輪ゴムをかけわたす。
2:ストローのまん中に待ち針を直角に刺し、針を割りばしにつけた輪ゴムの下に差し込んで、ストローと端を直角にする。
3:割りばしの片側のゴムにお湯を入れたカップを近づけて温めると、ストローが回転。

[しくみとヒント]
ゴムは熱が加わると縮むため、割りばしにつけたゴムの片側を温めるとその部分が縮んで少し短くなる。長さの変化はわずかだが針を回転させる。針の回転がストローを動かすと回転が拡大されるので、変化の様子がはっきりとわかる。

●8/8 くるくる回転 吹き玉

[難易度:★★]

[おもな道具]
アルミホイル、曲がるストロー

[やり方]
1:アルミホイルをだいたい10cm角に切り取り、ていねいに丸めて玉にする。
2:ストローの先にはさみで2cmほど切れ込みを入れ、開いてかさの形にする。先は曲げて上に向ける。
3:開いた部分にアルミホイルの玉をのせて、ストローの反対側から息を吹き込むと玉が浮いて回転する。

[しくみとヒント]
玉は吐く息で押し上げられるだけでなく、吹き出す空気の流れの中で安定する。もし玉が片方にずれると反対側の空気の流れが速くなり、その部分の圧力が下がって玉を元の位置に引き戻す。流れるもの(流体)の性質についての「ベルヌーイの定理」を応用した実験。

●8/9 コップをかぶせて! 手の熱で風車

[難易度:★★]

[おもな道具]
折り紙、プラスチックコップ、シャープペンシル、はさみ

[やり方]
1:折り紙をコップの断面より少し小さな円に切り、4か所に切れ込みを入れて風車の形に折る。
2:シャープペンシルの芯を2〜3mm出して垂直に立てて持ち、芯の先に風車をのせる。
3:プラスチックコップの底を抜いたものをかぶせると、風車が回り出す。

[しくみとヒント]
手は気温より温かいので、まわりの空気を暖めている。暖められた空気は膨張し(ふくらんで)、軽くなって昇っていく(上昇気流)。この空気の流れが風車を回す。コップをかぶせるのはまわりからの風よけと、煙突のように上昇気流がまっすぐ昇るのを助けるため。気温が低めのときや、手をよく温めてやるとうまくいく。下にお湯を入れたカップなどを置いてもよい。

●8/10 自動推進! つまようじボート

[難易度:★]

[おもな道具]
つまようじ、中性洗剤、バットまたは広い皿、水

[やり方]
1:バットなどに2cmほどに水を入れ、水の動きがおさまるまでしばらく置いておく。
2:台所用中性洗剤を水で2〜3倍に薄めたものを、つまようじの根元に1滴だけつける。
3:2のつまようじをバットの水面に落とすと、つまようじが自動的に進む。

[しくみとヒント]
水の表面には引っぱる力(表面張力)が働いている。中性洗剤には水の表面張力を弱める成分=界面活性剤が入っている。つまようじが水面についたとき、根元のまわりに洗剤が広がり、その部分の水面にはたらく引っぱる力を弱める。つまようじの先のほうではたらく引っぱる力は変らないので、その方向に向かって水面が引っぱられ、浮かんでいるつまようじが一緒に動く。

●8/11 水流が曲がる⁉ ストローの引力

[難易度:★]

[おもな道具]
ストロー、ティッシュペーパー、水道

[やり方]
1:ストローをティッシュペーパーやウールのセーターでこすって静電気を起こす。
2:水道の蛇口から水を出し、できるだけ細い流れになるように蛇口の栓をしぼる。
3:流れ出る細い水流に静電気を帯びたストローを近づけると、水流が曲がる。

[しくみとヒント]
静電気もふつうの電気と同じでプラスとマイナスがあり、たがいに引きあう(プラス同士、マイナス同士は押しのけあう)。静電気を帯びたストローが水流に近づくと、水流の表面にストローと逆の静電気(ストローがプラスならマイナス)が引き寄せられて集まり、ストローと引きあうので水流が曲がる。

●8/12 しんなりふにゃふにゃ キュウリの砂糖漬け

[難易度:★]

[おもな道具]
キュウリ、皿、粉砂糖

[やり方]
1:キュウリを適当に切り、ペーパータオルなどで表面の水分をふき取る。
2:切ったキュウリを皿にのせて砂糖をたっぷりとかけて置いておく。
3:しばらくすると砂糖が溶け、キュウリがしなびれる。

[しくみとヒント]
キュウリをはじめ生物のからだをつくっている細胞の膜は、半透性という性質を持つ。これは膜の両側に濃い溶液と薄い溶液があると、水分だけが薄い方から濃い方に移動する性質。このためキュウリの水分がしみ出して(キュウリは水を失ってしなびれる)砂糖を溶かした。同じことは食塩でもでき、これは漬物の原理。

●8/13 虹模様が出現 ひょっこり干渉縞

[難易度:★]

[おもな道具]
黒い下敷き、アルコール消毒液、半透明ビニール袋

[やり方]
1:黒いプラスチック製の下敷きの上にアルコール消毒液またはアルコールと水を2:1で混ぜた液を数滴落とし、指で丸く伸ばし広げる。
2:半透明ビニール袋でまわりを囲って電灯や窓などからの光をやわらげる。
3:溶液が蒸発するにしたがって、虹色の模様が表れて変化する。

[しくみとヒント]
アルコールの溶液は薄い膜になっていて、表と裏で光が反射し合わさって目に届く。このとき表と裏とでは膜の厚さ分だけ目に届くまでの距離に差がある。すると表と裏とで光の波のずれが起き、うまく重なった色(波長)の光だけが強く見える。膜の厚さが蒸発によって変化すると、その部分に見える光の色が変化する。水でもできるが、蒸発しやすいアルコールを混ぜると変化が早く見られる。

●8/14 アルミホイルが! ぴくぴく電線

[難易度:★★]※電池注意

[おもな道具]
アルミホイル、乾電池、磁石、リード線(ミノムシクリップつきリード線)、セロハンテープ

[やり方]
1:アルミホイルを1.5cm幅で細長く切り、「Ω」字型になるように机にセロハンテープでとめる。
2:1のまん中の真下に磁石を置き、両端にリード線をつなぐ。
3:リード線を乾電池の極につけると、アルミホイルがぴくぴくうごく。

[しくみとヒント]
電流が流れると、そのまわりには磁場(磁石の力がはたらくところ)ができる。アルミホイルは軽くて曲がりやすいので、その中を電流が通って磁場ができると、下にある磁石の磁場と影響しあって力が生まれ、曲がって動く。電流の向きあるいは磁石のNSを逆にすると、アルミホイルの動く方向が逆になる。

●8/15  あっという間に! 水玉つぶし

[難易度:★]

[おもな道具]
ロウソク、ストローまたはスポイト、つまようじ、中性洗剤

[やり方]
1:紙にロウソクをこすりつけて、表面にロウをコーティングする。
2:ストローやスポイトを使って1の表面に水を落とすと、きれいな水玉になる。
3:つまようじの先にごくわずかな中性洗剤をつけて水玉をさわると、つまようじがふれた瞬間に水玉がつぶれる。

[しくみとヒント]
水の表面にはつねに引っぱる力(表面張力)がはたらいているので、表面の面積がいちばん小さい球の形をとろうとする。ロウは水をはじく(水となじみにくい)のでこの上では水は広がらず、少し重力でつぶれた球になる。洗剤をつけると表面張力が弱まるので、水面を引っぱる力=球になる力が重力に負けて水玉がつぶれる。

●8/16  なぜかくっつく! クリップ磁石

[難易度:★]

[おもな道具]
ゼムクリップ、磁石

[やり方]
1:ゼムクリップの端をのばして「9」の字型にする。
2:のばした部分を磁石で一方向に1〜3回こすり、他のクリップに近づけるとくっつく。

[しくみとヒント]
鉄の中にはごく小さな磁石の単位がたくさんある。これはふだんはバラバラな向きを向いているので鉄は磁石ではない。しかし外から一方向に磁石の力がはたらくと、磁石の単位が一時的に一方向にそろうので、鉄は一時的に磁石になる。

●8/17  お手軽楽器♪ ストロー笛

[難易度:★★]

[おもな道具]
ストロー、はさみ

[やり方]
1:ストローの先3〜4cmほどを平らにつぶし、はさみで逆V字型に切る。
2:切った方の3cmぐらいのところを唇でくわえ、強く息を吹きこむと音が出る。
3:ストローをつないだり途中で切って長さを変えると音程も変わる。

[しくみとヒント]
音は空気のふるえで、何かがふるえると音になる。切ったストローの先に息が当たるとふるえが起き、ストローの残りの部分にある空気をふるわせて大きな音になる。残り部分の空気の長さによってふるえの細かさ=音の高さが決まる。ストローの長さが変れば出る音の高さも変化する。

●8/18  正体はなんだ⁉ 氷砂糖のもやもや

[難易度:★]

[おもな道具]
氷砂糖、タコ糸、割りばし、透明コップ、白い紙、水

[やり方]
1:氷砂糖の大きめの粒をタコ糸でしばって、割りばしのまん中につり下げる(割りばしから糸まではコップの高さの半分ぐらいにする)。
2:コップいっぱいに水を入れ、1の氷砂糖が水中に入るようにして観察。
3:氷砂糖からもやもやとしたものが水中を流れ落ちる。

[しくみとヒント]
透明な水が同じく透明な空気中で見えるのは、水とまわりの空気とで屈折率(光を屈折させる度合い)がことなるため。水中の氷砂糖の周辺では砂糖がとけて濃い砂糖水ができ、これは水より少し重いので下に向かう。そして砂糖水は水より屈折率が少し高いので、水の中で流れとして見ることができる。白い紙を、真正面から見てコップのまん中にかかるように置くと、水と砂糖水のさかい目が見やすくなる。

●8/19  ひと晩寝かせて カイロでボトルつぶし

[難易度:★]

[おもな道具]
柔らかいペットボトル、使い捨てカイロ

[やり方]
1:飲料水用の柔らかいペットボトルに、使い捨てカイロを細くまるめて押し込む。
2:キャップをして1晩おくとボトルがつぶれている。

[しくみとヒント]
使い捨てカイロには鉄の粉が含まれていて、空気を通さない外袋を破ると鉄が空気中の酸素と結びついてさびる(酸化する)。このときに出る熱で暖まるしくみ。ペットボトルに入れて密封すると、カイロの中の鉄粉がまわりの空気中の酸素と結びつく。そのぶんボトル内の空気の体積が減って圧力が下がり、周囲の空気の圧力に押されてつぶれる。

●8/20  1つだけ揺れる! 振り子3兄弟

[難易度:★★]

[おもな道具]
5円玉などのおもりになるもの、縫い糸、定規などの棒

[やり方]
1:5円玉(または50円玉や釣りおもりでもよい)3つに、長さのことなる糸(10、20、40cm)を結びつける。
2:糸の反対側の端を定規などの棒にセロハンテープなどでくっつける。
3:棒の両端を持ってタイミングを調節してゆらすと、狙った1つだけがゆれる。

[しくみとヒント]
ふりこのゆれる周期(1ゆれにかかる時間)は、ふりこの長さや重さには関係なく、長さだけで決まる。棒をゆらすタイミングとある長さのふりこの周期とが一致すると、そのふりこだけゆれ、他はゆれない。糸の長さを倍々でつくると、タイミングを調節しやすい。

●8/21  ホントは黒じゃない⁉ 黒インクの色分解

[難易度:★]

[おもな道具]
吸い取り紙またはろ紙、水性の黒ペン、水、コップなど

[やり方]
1:ろ紙や吸い取り紙に水性の黒ペンで模様を描いてよく乾かす。
2:コップに2cmほどの深さに水を入れて片側から水をしみ込ませる。
3:しばらく置いて反対側まで水がしみ込むと、黒インクがさまざまな色に分かれてにじむ。

[しくみとヒント]
紙に水がしみ込んでいくとき、途中にインクなどの色素があると、それを押し流していく。このとき色素がどれほど動くかは、色素の大きさや重さ、水とのなじみやすさなどによって変る。黒い水性ペンのインクにはより黒く見せるために数種の色素がまぜてあり、それぞれ性質がことなるので動く距離がちがい、紙の上で分かれる。なお、同じ黒ペンでもメーカーや銘柄が違うと現われる色にちがいが出る。

●8/22  くっついちゃう! ゴム風船吹き

[難易度:★]

[おもな道具]
ゴム風船、糸

[やり方]
1:ふくらませたゴム風船2個に糸をつけて、10cmほど離して並べてつるす。
2:風船の間を強く吹くと、ゴム風船がくっつく。

[しくみとヒント]
水や空気などの流れるもの(流体)では、速い流れがあるとその部分で圧力が低下する。息を吹くと風船の間で圧力が下がり、周囲の空気を引き込む。この空気の移動といっしょに風船も引き寄せられる。流体の流れのしくみについての「ベルヌーイの定理」を応用した実験。

●8/23  カラーセロハンで! RGB3原色影絵

[難易度:★★]

[おもな道具]
色セロハン(赤、緑、青)、懐中電灯3本、白い紙(壁でもよい)など

[やり方]
1:懐中電灯3本に赤、緑、青のセロハンをかぶせ、白い壁や紙などに光を当てる。
2:懐中電灯とスクリーンの間に影になるもの(手やものなど)を入れると影ができるが、影の重なりあった部分にさまざまな色が現われる。

[しくみとヒント]
3本の懐中電灯からの赤、緑、青の3つの光は、少しずつずれてスクリーンに当たる。このためそれぞれの光でできる影も少しずつずれていて、1つの色の光だけが当たる部分や、2つの色が当たっている部分などができる。2つの色が当たっている部分はその色を合わせた光が合わさるので、赤、緑、青以外の色がついて見える。

●8/24  決定的瞬間! 水漏れボトル落下

[難易度:★★]※キリ注意

[おもな道具]
ペットボトル、キリ、水

[やり方]
1:ペットボトルの底に近い側面にキリで穴をあけ、手でおさえて水を入れる。
2:高いところに持ち上げておさえていた指をはなすと、水が流れ出る。
3:そのまま手をはなしてボトルを落とすと、落ちている間は水流がとまる。

[しくみとヒント]
水がボトルの穴から流れ出るのは、重力のはたらき。つまり水の重さ(下向きの力)を支えているボトルの壁を、水が押しているため。落ちているとき、ボトルの壁は下向きの力を支えていない(ボトルと水がいっしょに下向きに動いているため)ので、壁を押す水の力がはたらかず、水は流れ出なくなる。

●8/25  生? ゆで? どっち? 生卵を光で判別

[難易度:★]

[おもな道具]
生卵、ゆで卵、懐中電灯

[やり方]
1:生卵とゆで卵を用意する。
2:まわりを暗くして、卵に懐中電灯の先を当てて灯す。
3:ゆで卵は光を通さず暗いままだが、生卵は全体がぼーっと光る。

[しくみとヒント]
生卵のとき、中の白身のタンパク質の分子は水が混ざり合った状態で、光を通す(卵から出しても透明)。からを通った懐中電灯の光は卵の中でいろいろな方向に反射して、卵全体が明るく光る。ゆでるとタンパク質が熱で変化して固まり、このときタンパク質分子の組み合わさり方が変化して、光を通さない状態になる。このためゆで卵は光を通しにくい。

●8/26  キラキラ光る 水中シャボン玉

[難易度:★★]

[おもな道具]
透明コップ、中性洗剤、ストロー、水

[やり方]
1:コップに8分目ほど水を入れ、中性洗剤8〜10滴を入れて静かにかき混ぜる。
2:ストローの先端3〜5cmほどを水中に差し込み、反対側をゆびでふさいで液を持ち上げて、水面から1〜2cmの高さから落とす。
3:液の量や落とす高さを調節すると、キラキラ光る不思議な玉が水中にできる。

[しくみとヒント]
中性洗剤に含まれる界面活性剤は、水の表面張力を弱めて水面が広がりやすくする(このため水が膜になりやすくなるのでシャボン玉がつくれる)。液を水中に落とすと空気もいっしょに水中に入るが、ふつうは水の表面が縮まる力(表面張力)が強いので、空気だけが泡になって浮かび上がる。表面張力が弱いと水の表面があまり縮まらないので、落ちた水滴のまわりに空気が広がった「空気の膜」の玉になって、ゆっくりと浮かび上がる。

●8/27  熱湯の上で! 踊るセロハン

[難易度:★★]※熱湯注意 

[おもな道具]
セロハン、アルミホイル、ガーゼ(または目の粗いハンカチなど)、マグカップなど、お湯

[やり方]
1:熱湯の入ったカップにガーゼをかぶせ、その上に6〜7mmから1cmほどの幅の短冊型(細長い長方形)に切ったセロハン、紙、アルミホイルやなどをのせる。
2:セロハンはくねくね踊るが、アルミホイルは変化しない。紙はその中間。

[しくみとヒント]
お湯からはさかんに水蒸気が出ている。セロハンを上に置くと、その下の面が水蒸気を吸ってふくらむ。すると下面だけが伸びるのでセロハンはそりかえる(水蒸気と反対側に曲がる)。曲がるとそれまで上だった面にも水蒸気が当たって逆に曲がるので、くねくねと踊るように動く。アルミホイルは水蒸気を吸い込まないので変化しない。紙はセロハンほどではないが吸い込んで伸びるので、少しだけ動く。お好み焼きにかけたかつお節が踊るのと同じしくみ。

●8/28  梱包材でつくる 即席グライダー

撮影/青柳敏史

[難易度:★]

[おもな道具]
クッションシート、ビニールテープ、黒マジック、はさみ

[やり方]
1:梱包用のクッションシートなどの薄くて軽い材料に翼の形を描いて切り抜く。
2:切り抜いたシートの中央の片側1か所に、長さ3cmほどのビニールテープを3〜4枚かさねて貼り、おもりにする。
3:頭上に持ち上げておもりの方を少し下げ、そっと手を離すとシートがすーっと滑空する。

[しくみとヒント]
薄いものを水平にしたとき、水平方向には動かしやすいが上下方向だと空気の抵抗が大きくて動かしにくい。1か所におもりをつけると薄いものは少し傾き、おもりの方に向かって(おもりの重さに引っぱられて)動いていく。全体が翼のようなバランスのとれた形だと、安定して一方向に動き、下面に空気の流れを受けてグライダーのように滑空する。

●8/29  水に浮かべると読める ロウソク隠し文字

[難易度:★]

[おもな道具]
水がしみ込みやすい紙、ロウソク、バットなど

[やり方]
1:障子紙や半紙などの水がしみ込みやすい紙に、ロウソクで文字などを書く(見えない)。
2:バットなどに水を入れて1の紙を水面に浮かべると、書いた文字が表れる。

[しくみとヒント]
紙は細かい繊維でできている。繊維はほぼ透明だが、光を屈折させる度合い(屈折率)が空気と大きくちがうので表面で光がはね返り、全体では白っぽく見える。ぬれると屈折率が繊維に近い水が繊維の間に入り込むので、光がはね返りにくくなって透明に近づく。ロウは水をはじくため、繊維に水がしみ込みにくくなり、その部分だけが白っぽいまま残る。

●8/30  竜巻が発生! 水中トルネード

[難易度:★]

[おもな道具]
円筒形のペットボトル、中性洗剤、水

[やり方]
1:円筒形のペットボトルに水を入れ、中性洗剤を1〜2滴加える(多すぎると泡ができすぎて見にくくなる)。
2:キャップをしてかるく振って、少しだけ小さな泡をつくる。
3:ボトルの底を持って全体をぐるぐる振り回して止めると、水中に渦ができて竜巻のような形が見られる。

[しくみとヒント]
水が回転するように動くのが渦。水の一部分で見ると一方向に安定して動いているので、まっすぐな流れのように長続きしやすい。また渦では遠心力で水が外側に押しつけられて、軽い泡が中心に集まって細いすじになる。なお、中性洗剤を入れるのは小さな泡をつくって渦の形を見やすくするためなので、入れなくても竜巻の姿は観察できる。

●8/31  古いCDで! まんまるレインボー

[難易度:★]

[おもな道具]
使わなくなったCD、懐中電灯、コピー用紙、黒画用紙

[やり方]
1:懐中電灯に光が弱まるように、コピー用紙などを1枚かぶせてとめる(光を出す部分が大きい場合は、1cmぐらいの穴をあけた黒画用紙をいっしょにかぶせる)。
2:使わなくなったCDを立てかけておき、30cmほどはなれた場所からまん中に光を当てながら向きを調節すると、CDに円形の虹が現われる。

[しくみとヒント]
CDなどには細かいすじがついていて、虹のように当たった光を分散させる。このすじは同心円(中心が同じたくさんの円)なので虹も丸くなるが、ふだんは一方向からの光で見ているので一部しか見えない。中心の真正面でCDに直角に光を当てて同じ方向から観察すると、虹が円形に見える。なお、コピー用紙は光を弱めてまぶしさを減らすためなので、写真を撮るときなどはなくてもよい。

文・撮影/山村紳一郎

3.ミッション報告をして、本を手に入れよう

 ミッションシートに記入ができたら、編集部に報告をしましょう。実験の様子がわかる写真も厳選して3枚程度お送りください。ミッションを報告してくれた人の中から抽選で、理科をテーマにした図鑑をプレゼントします!

 この本は、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育に力を入れるイギリスで評判の、科学全分野を網羅した図鑑です。生き物から、化学、エネルギーや力など物理の基本から、地球、宇宙の基礎知識まで日本の小学校では少ししか学ばない科学の基礎を、全項目カラフルな図解に仕上げています。各ページの「やってみよう」コラムでは、家庭でできる実験のアイデアが散りばめられているので、もっと実験をやってみたい!という人にぴったりの1冊です。

 また、報告されたシートは山村先生が確認し、おもしろいものを本誌2023年12月号で紹介する予定。山村先生にシートを見てもらいたい&図鑑がほしい人は、2023年9月20日(水)までにご報告を! たくさんのご応募をお待ちしています!

『小学生のうちに伸ばしたい 世界基準の理系脳を育てる 理科の図鑑』
【編集】『子供の科学』特別編集 【監修】田中千尋
誠文堂新光社

※ミッションの報告投稿にはコカネット無料会員登録が必要です。

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