【サイエンス“手に職”図鑑】建築家/人を幸せにする、 “人生の器”を創造する

【ゼロから家をつくれる度 ★★★

UZU
ウーズ
architects
アーキテクツ
(一級建築士事務所)の松井哲哉
まついてつや
さんに聞きました。

キャリアプラン

高校卒業
大学などで建築学を学ぶ
設計事務所などで実務を学ぶ
建築士の資格をとって独立する

必要な資格

建築士(国家資格)
建築に関する知識と経験、技能を証明する資格です。1級建築士、2級建築士、木造建築士の種類があり、建築できる建物の種類や規模が異なります。建築にはとても多くの職種が関係するため、建築士の資格があればさまざまな職業につくことができます。

仕事データ

勤務時間/1日8時間くらい
休日/週休2日が基本だが、休日に打ち合わせなどすることも多い
働ける年齢 /経験が役立つ職業であり、長く働ける

現場のお話を聞いてみよう!

理想的な建築物をめざし、設計図を引く

 家やビルなどの建築物をつくるときには、設計図が必要です。設計図をつくったり、建物が設計図どおりに正確につくられているか確認したりするのが「建築士」の仕事です。建築士になるには、国家資格が必要です。

 建築士の中でも、独立して自分の事務所をかまえていたり、するどい感性をもった芸術家のような仕事をしたりする人のことを「建築家」とよびます。建築家には、自分の理想とする建築物があり、それを実現するために勉強したり、経験を積んだりします。

 建築物は、人間がその中で暮らし働く“人生の器”です。そして、人と人、人と環境を結びつける場所でもあります。そのため、建物だけを見ていては満足のいくものはつくれません。町や社会、世界を広く冷静に見て、あらゆる点で最も魅力的な建築物を創造するのが建築家の仕事なのです。ときにはそうした理想が依頼主に受け入れられず、落ちこむこともありますが、依頼主も建築家もともに満足のいく建築物ができあがったときには、大きなやりがいを感じます。

生きる豊かさを人がもつ限り、なくならない仕事

 建築家がめざす建築物は、美しくて、多様で、社会性をもつものです。何かを美しいと感じるだけでなく、なぜ美しいのか、そのしくみまで知りたいと思うような人は、建築家に向いています。

 子どものころには自然の中でいっぱい遊びましょう。季節や時間による太陽の光や風の向きの変化、生き物との関係を体感することは、建築家の仕事だけでなく、一生何かに役に立つことです。自然や生き物の造形を知ることは、建築物のデザインの造形を考え出す力につながります。

 建築物をつくるときには、依頼主と時間をかけて対話をし、どのような建築物ならより快適に、より幸福に過ごせるかをいっしょに考えます。膨大なデータを処理したり、正確な図面をつくったりするのはAIの方が得意ですが、人と人がコミュニケーションをとりながら建築物を生み出していく過程はAIにとってかわられることはないでしょう。生きる豊かさを大切にしようと考える人がいる限り、建築家は必要とされるのです。

こうやって稼いでいます!

・設計事務所に勤める
・独立して自分の事務所を持つ
・建築に関わる職業(建設業、ハウスメーカー、工務店、不動産、建材メーカー、インテリア、エクステリア)につくこともできる

年収

約667万円

(厚生労働省O-NETより)

★お仕事メモ★
建築家と名乗ることは、建築士であれば誰でも自由にできるが、近年、日本建築家協会が「建築家資格制度」を始めた。認定されれば、「登録建築家」と名乗ることができる。

(文/小野寺佑紀 イラスト/アカハナドラゴン)

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