外からエアコンをつけられる装置をつくろう!①

 obniz(オブナイズ)は、センサーやモーターなどの電子部品を、インターネット上でかんたんに操作
(そうさ)
できるようにするシステムで、obniz OS(オブナイズ オーエス)、obniz Board(オブナイズ ボード)、obniz Cloud(オブナイズ クラウド)で構成
(こうせい)
されている。obniz OSが搭載
(とうさい)
されているマイコンボードobniz Boardに接続
(せつぞく)
した電子部品は、インターネット上のobniz OSを経由
(けいゆ)
してパソコンやスマートフォンから遠隔
(えんかく)
操作ができる。これを使うと、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)がかんたんにできるんだ。

 『子供の科学』本誌
(ほんし)
では、obnizを使って家をスマートホーム(いろいろなものをインターネットにつないで遠隔操作できる家)にするための装置
(そうち)
をつくる連載
(れんさい)
をしてきた。

 これまでの連載は「obnizでつくろうスマートホーム!」バックナンバーで公開しているよ。これまでにつくった装置のつくり方を解説
(かいせつ)
しているので、まだ見たことがない人は見てみてね。Web連載は、本誌の連載の
(つづ)
きになっているので、基本的
(きほんてき)
なことがわからなくなったら、本誌のバックナンバーを
()

(かえ)
ろう。

 この連載では、「KoKa obnizスマートホームキット」が必要なので、持っていない人は「KoKa Shop!」で手に入れよう。プログラミングはスマートフォンを使うよ。親子でいっしょに取り組んでみてね。

 お出かけ中に、外から家のエアコンをつけることができたら、帰ってきたときにはすでに部屋が
あたた
かくなっていて便利だよね。また、エアコンを消し忘れて外出してしまっても、外からエアコンをオフにできれば、わざわざ家に帰る必要もなくなるよね。

 今回は、スマートフォンでお家のエアコンを遠隔操作する装置をつくっていくよ! この装置があれば、地球の反対側にいたって、自分のお家のエアコンがコントロールできるんだ!

1 装置のしくみを考えよう!

 スマートフォンの画面にボタンを表示させて、「暖房
だんぼう
」ボタンを押すと暖房がつき、「停止」ボタンを押すと、停止するという装置にしていくよ。装置は、obniz Boardと赤外線送信・受信モジュール(IRModule)を使ってつくるよ。

 この装置をつくるには、エアコンの暖房をつける・停止するそれぞれの赤外線をobniz Cloudに保存するプログラムと、スマートフォンのボタン操作に応じて、保存した赤外線を取り出し、エアコンに送信するプログラムが必要だ。今回は、エアコンの赤外線をobniz Cloudに保存するプログラムをつくっていこう。

 ちなみに、エアコンのリモコンと使って、obniz Cloudに赤外線を記録
きろく
するけど、そのままではobnizは赤外線を受信したことは分かっても、それが何の赤外線なのかは判別
はんべつ
できない。だから「こういう状態の時に送信された赤外線は、「暖房(または停止)」という名前で保存してね」というプログラムをつくる。これで、obnizが「暖房」か「停止」のなのか、赤外線を判別できるように工夫してみよう。

2 装置をつくろう

 まずは装置をつくっていこう。「KoKa obnizスマートホームキット」から、次の部品を用意してね。

【用意するもの】
① obniz Board
② 電池ボックス
③ 電池ボックス接続用USBケーブル
④ 赤外線送信・受信モジュール

材料一式

① 電池ボックスとobniz Boardをつなごう。コネクターの向きに注意しながら接続しよう。

obniz Boardに電池ボックスをつなぐ

② obniz Boardに赤外線送信・受信モジュールを差し込もう。赤外線送信・受信モジュールの5Vがobniz Boardの0番に、GNDが3番にくるようにしよう。

赤外線送信・受信モジュールをつなげる

3 リモコンからの赤外線を保存するプログラムをつくろう!

電池ボックスのスイッチをオンにして、プログラミングエディタを立ち上げよう。立ち上げる方法は、「obnizの新しい「アプリ」を使ってみよう!」の「アプリでプログラムをつくってみよう」を参考にしてね。アプリ名を付ける必要があるので「エアコンの赤外線を記録する」とつけたよ。

① 赤外線送信・受信モジュールをobnizに接続するためのブロックを用意しよう。
 電球のアイコンから「“obniz”に“irmodule”を接続する」を取り出してつなげよう。数字はそのままで大丈夫だよ。

赤外線送信・受信モジュールをobnizにつなぐプログラム

② obniz Boardのディスプレイに「赤外線を送ろう」と表示させてみよう。
 obnizのアイコンから「“obniz”に“Hello, World!”を表示する」を取り出しつなげよう。“Hello, World!”は、“赤外線を送ろう”に書きかえてね。

obniz Boardのディスプレイに「赤外線を送ろう」と表示

③ 矢印が円を
えが
いているアイコンから「ずっと~実行」を、2本の矢印のアイコンから「もしも“true”実行~他」を取り出そう。

ループ部分

④ 「もしも“true”実行 他」のプラスマークを押して、画像のように「他でもしも“ ”実行」を表示させよう。一番下の「他」は使わないので、マイナスマークをタップして消そう。

分岐プログラム

⑤ ここから、「こういう状態の時に送信された赤外線は、「〇〇」という名前で保存してね」とobnizに知らせるプログラムをつくっていくよ。
 今回は、obniz Boardのスイッチを右に倒した状態の時に送られた赤外線を「暖房」、左に倒した状態の時に送られた赤外線を「停止」という名前で保存するようにしてみよう。

obniz Boardのスイッチ

 obnizのアイコンから「“obniz”のスイッチが“押されている”」を取り出し、「もしも“true”実行」の“true”に入れよう。“押されている”をタップすると、スイッチを押す動作を選べるよ。“右に押されている”を選択しよう。

スイッチが押されている場合の設定

⑥ 人のアイコンから「“ ”を“key”としてクラウドに保存する」を取り出しつなげよう。

クラウドに保存するブロック

⑦ 電球のアイコンから「“irmodule”で赤外線を受信する」を取り出し、「“ ”を“key”としてクラウドに保存する」の“ ”の中に入れよう。“key”は“暖房”に書きかえよう。
 これで、obniz Boardのスイッチを右に倒した後に赤外線を送ると、「暖房」という名前で保存されるようになったよ。

暖房の赤外線を保存する

⑧ 赤外線がちゃんと受信されたか、obnizのディスプレイでチェックできると便利だよね。受信されたら「「暖房」を受信」と表示されるようにしてみよう。
 obnizのアイコンから「“obniz”のディスプレイを消す」と「“obniz”に“Hello, World!”を表示する」を取り出しつなげよう。“Hello, World!”は、“「暖房」を受信”に書きかえてね。これを、⑦のブロックの後につなぐよ。

obnizのディスプレイに表示

⑨ 停止の赤外線を送る動作も、同じようにつくっていくよ。画像のようにブロックをつなげよう。

停止の赤外線を認識するプログラムを追加

 これで、リモコンの赤外線を受け取るプログラムは完成だよ!

コラム:アプリがインストールできない時の対処法

 アプリは1つのデバイスにつき、1つしかインストールできないんだ。
もし、obnizに他のアプリをインストールしていた場合、プログラムが実行できないことがあるよ。以下の手順で、アプリをアンインストールしよう。

① obnizのホーム画面の左上にあるメニューボタンをタップし、「デバイス」を選択しよう。

デバイスを選択

②「アプリを開く」という表示があったら、すでに別のアプリがインストールされているよ。

デバイスの確認

 「アプリを開く」の右にある三角のボタンをタップし、「アンインストール」を選択しよう。これでアプリがアンインストールされたよ。

アンインストールする

③ 「デバイス」を開くと、「開発する」という表示に変わっているよ。これでアプリをインストールする準備が
ととの
ったよ!

デバイスの確認

4 赤外線を保存しよう!

 それでは、完成したプログラムを使って、エアコンの赤外線を保存しよう。まずエアコンのリモコンを用意してね。スマートフォンでプログラムを実行しよう。
 プログラムの実行は、右上の実行ボタンをタップすればできるよ。また、「obnizの新しい「アプリ」を使ってみよう」で紹介しているように、obniz Boardにつくったアプリをインストールして実行してもいいよ。

 obniz Boardのディスプレイに「赤外線を送ろう」と表示されるよ。

プログラムを実行

 まず、暖房の赤外線を保存してみよう。リモコンの赤外線を送信する部分を、赤外線送信・受信モジュールに当てるから、リモコンのどこから赤外線が発信されるか確認してね。

リモコン
リモコンの、赤外線が発信する部分を確認する(デジタルカメラで撮影したので、赤外線の光が見えているけれど、人の目では見えないよ)

 obniz Boardのスイッチを右に倒そう。その後、赤外線モジュールにリモコンを向けて「暖房」ボタンを押そう。すると、obniz Boardのディスプレイに「「暖房」を受信」と表示されるよ。

暖房の赤外線を保存

 今度は、停止の赤外線を保存してみよう。
 obniz Boardのスイッチを左に倒そう。その後、赤外線モジュールにリモコンを向け、「停止」ボタンを押そう。すると、obniz Boardのディスプレイに「「停止」を受信」と表示されるよ。
 ちなみに、暖房と停止、どちらからやっても大丈夫だよ。

停止の赤外線を保存

 これでobniz Cloudに2種類の赤外線を保存することができた。次回はこの赤外線を使って、エアコンを遠隔操作していくよ!

(写真/青柳敏史)

obnizを使ったIoTプログラミングのオンラインワークショップ 開催!
「KoKa obnizスマートホームキット」を使って、IoTプログラミングが学べるワークショップを、1月23日(土)に開催! 講師はこの連載の著者である、トボリ先生だ。Zoomを使ったオンラインワークショップなので、家から参加できるよ! 詳しくはこちら

トボリ 著者の記事一覧

電子工作の記事執筆や、動画制作をしています。

プログラミング教材 obniz

KoKa obnizスマートホームキット

¥12,650- (税込)

KoKa Shop!で購入する

最新号好評発売中!

子供の科学 2024年 5月号

CTR IMG