自分の好きなことをトコトン究めていきたい小中学生を応援する、
「トコトンチャレンジ2025」。
「ふいて飾ってきれいに! 藍染めの抗菌効果」というテーマでガステック賞に選ばれた白鳥琴子さん(小4)が、神奈川県綾瀬市にある株式会社ガステックを訪問。これまで進めてきた研究の成果や現在の課題を説明し、今後の研究に活かせるさまざまなアドバイスやアイデアをもらいました。
藍染めの効果を調べたい!
白鳥さんの研究テーマは「藍染め」。藍で有名な地域に住んでいる白鳥さんは、学習発表会に向けて藍染めの歴史を調べたりしているうちに、藍染めに興味を持つようになったそうです。そして藍染めの持つ「抗菌、防虫、消臭効果」を自分で確かめたいと、実験を繰り返しています。

まず取り組んだのは、菌培養実験。普通のハンカチと藍染めのハンカチで菌を培養し、それを寒天培地の上に乗せて、菌の数にどれくらい違いが出るかを調べました。実験前は、藍染めの抗菌効果をスムースに確認できるのではないかと考えていた白鳥さん。しかし、最初の実験では、普通のハンカチと同じくらい、藍染めのハンカチを入れた培地にも菌が出てしまいました。


ノートにしっかり記録を残しています。
その後、納豆菌や、抗菌作用があるといわれているハッカ油を使って実験を続けましたが、なかなか思うような結果は得られませんでした。藍染めが抗菌効果を発揮するにはいろいろな条件がありそうだと考えた白鳥さんは、次に藍染めの消臭効果を確かめる実験をすることにしました。
気体検知管で消臭効果を確かめよう!
そんな白鳥さんをサポートしてくれるのが、株式会社ガステックです。1970年に創業したガステックは、気体や水質等を測定する機器をつくっている会社。ガステックがつくっている気体検知管は「匂いのもと」となる成分を検出できるため、藍染めによって「匂いのもと」が減ったかどうか、つまり消臭効果が得られたかどうかを調べられるのではないかというわけです。

ガステックの社員から消臭性試験について教えてもらったあとは、実際に気体検知管を使ってみます。気体検知管は、中に薬剤が詰まった細いガラス管です。このガラス管に気体を通すと、気体の濃度によって薬剤の色とその長さが変わるため、変色の境界を検知管に印刷された目盛で読み取り濃度を知ることができるのです。

レクチャーしてくれました。

ガステックの社員からも、「上手だね」とお墨付きをもらいました。

気体に含まれる成分の種類や濃度がわかります。
気体検知管の使い方をマスターした白鳥さん。気体採取器と検知管、試験用の気体を入れるサンプリングバッグなど、実験に使う道具もガステックから借りることができました。これで、家で藍染めの消臭性試験を行う準備もバッチリです。
藍染めの効果が確認できたあとは、藍染め和紙を使って雑菌が増えないペーパー加湿器をつくりたいと、白鳥さんは考えています。そのきっかけは、3年生のときに地域留学で徳島県を訪れたことでした。そこで人口減少について知った白鳥さんは、徳島のよさをもっと多くの人に知ってほしいと、徳島で有名な藍を使ったものをつくりたいと考えるようになったのです。
藍染めが持つ抗菌効果への好奇心と、地域の人の役に立ちたいという思いが、研究の原動力。これからも自分の好きなことをトコトン究めてほしいと思います。今後の研究もがんばってください!
ガステックの工場を見学
ガステックでは、気体検知管を製造している工場も見学させてもらいました。気体検知管に使うガラス管の熔断、調剤、ガラス管への充てん、梱包の様子など、普段は見ることができない製造工程を間近で見学できました。

「ビーカーくんがゆく」でガステックを紹介した記事が読めるよ!
2023年8月号と9月号の「ビーカーくんがゆく」で株式会社ガステックを紹介しているよ。気体検知管の製造工程がわかるので、ぜひ読んでみよう!
●ビーカーくん、空気中の酸素を検知する!?の巻(2023年8月号)
https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2025/06/2308-1.pdf
●ビーカーくん、冷やされる?の巻(2023年9月号)
https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2025/10/2309s.pdf
(協力:株式会社ガステック 取材・文:塩野祐樹 写真:井川俊彦)