2021年8月号「第1回読者編集会議採用企画」 まだまだこんなお話もありました!

  8月号の「第1回読者編集会議採用企画」の記事はみんな読んでくれたかな?「第1回読者編集会議」に参加して提案
ていあん
された企画が記事になっているよ。有賀海哩さん提案の「古生物発掘
こせいぶつはっくつ
あるある」と堀将悟さん提案の「植物油のつくり方を知りたい!」だ。
 二人にはオンラインでの取材にも参加してもらって、インタビューもしてもらったよ。そこではいろいろな話を伺ったけど、実は雑誌の記事に入りきらなかったものもあるんだ。そこで、コカネットで紹介! 雑誌の記事と合わせて楽しんでね!

古生物発掘あるある

 小型哺乳類
ほにゅうるい
化石の研究をしている、国立科学博物館の木村由莉先生に、企画者の有賀海哩さんと一緒にお話を伺ったよ。雑誌の記事には載せられなかった発掘現場の事情から、化石の保管のしかたまで要チェックだ。

“医”食住あるある

 発掘現場は世界中がフィールド! 人里
ひとざと
はな
れた場所も多いそうだけど、やっぱり気になるのは人の生理現象
せいりげんしょう
だよね…。

有賀君
有賀さん

発掘現場ではトイレはどうしてるんですか?

木村先生
木村先生

多くの場合は野外で、うまく茂みを探して用を足しますが、お腹を壊すと大変(笑)。トイレットペーパーは自分たちで用意して持っていきます。 

 実は、トイレットペーパーはトイレだけではなく、化石を保護するためにも使います。石膏
せっこう
ジャケットといって、濡らしたトイレットペーパーで化石を
おお
ってから石膏をかけると後できれいに取り外せるんですよ。

石膏ジャケット1
採った化石に塗らしたトイレットぺーパーで覆う作業をしている。(写真提供:木村由莉)
石膏ジャケット2
化石を濡らしたトイレットペーパーですっかり覆った状態。ここから石膏をかける。(写真提供:木村由莉)

 でも、化石を掘りに行ったのに1個も見つからなくて、結局トイレでしかペーパーを使わなかったときはメチャクチャ
くや
しい! 

古生物学っておもしろい!

 世界中の発掘現場で調査をして、太古の地球の生物たちを研究する古生物学。やっぱりとても興味深いよね。

有賀君

 これまで見つけた化石で一番の宝物は何ですか?

木村先生

残念ながら、宝物と呼べるものにはまだ巡り会えていません。これまで10種類ほどの新種を論文にしましたが、それは他の人が見つけたものを研究した成果です。

 まだ自分で大きな発見をしたことがないので、実際に化石を採りに行って、見つけたものを研究してみたい。そのために「自分のフィールド」と呼べる場所を探しているところです。

コラム 化石を発掘したら、標本ラベルをつくってみよう!

 古生物学者を目指すみんなに、木村先生からアドバイスをいただいたよ!

 全国には恐竜やアンモナイトなどの化石発掘体験ができるスポットがたくさんある。夏休みの体験イベントなどで化石を採る機会もあるかもね。

 もし化石を採ってきたら、自分で標本番号をつけて、採取した場所、採集者、採取日を書いた標本ラベルをつくっておくと便利とのこと。今は何の化石かわからなくても、将来自分が研究するときに、重要な情報になるぞ。キミの未来の大発見につながるかも!

標本ラベル
国立科学博物館の標本ラベル(下)と登録された化石標本(上)。標本自体にも修正液を塗って白地をつくり、標本番号を書き込んでおく。(写真提供:木村由莉)

植物油のつくり方を知りたい!

 いろいろな植物油をつくって発売しているJ-オイルミルズの肥山恵理奈さんに、企画者の堀将悟さんと一緒にお話をうかがったよ。雑誌の記事では、主にダイズやナタネからとる油について教えてもらったけど、それ以外にもついて教えてもらったよ!

植物油の原料にはどんなものがある?

 植物油の原料として多く使われているのはダイズとナタネだけど、実はほかにもいろいろあるんだって。

堀くん
堀さん

植物油の原料になるものは、他に何があるんですか?

肥山さん
肥山さん

 植物油の原料には、ダイズやナタネ以外にいろいろな種類があります。 
 例えばコメ油は米ぬかと胚芽
はいが
から取ります。また、ブドウの種子から取るグレープシードオイルなどもありますね。油分はすべての植物種子に含まれているんですよ。

米ぬか
米ぬか

 その中でもおもしろいのは綿実
めんじつ
油とトウモロコシ油(コーン油)のつくり方でしょう。
 綿実油は、ワタの繊維
せんい
をとった後の綿花の種子からつくられ、高級天ぷら油などに使われます。

綿実
綿実

 トウモロコシ油は、トウモロコシの実を丸ごと
しぼ
るのではありません。じつはトウモロコシからデンプン(コーンスターチ)をつくる際に出る胚芽から、デンプンづくりの副産物として油をとっているんですよ!

油のいろいろな使い方

 油の使い道といえば料理で使ったり、燃料として使うことが思い浮かぶよね。でもそれ以外にもいろいろなところで使われているようだ。

堀くん

食用の他にも、油はどんなものに使われていますか?

肥山さん

 いろいろな燃料や、工業用の原料などとしても油が使われています。例えば、アマニ油は印刷用インクの色素
しきそ
を固める素材として使われてきました。
 またオリーブオイルを搾った後の原料に含まれる有効成分
ゆうこうせいぶん
を活用したり、においが出にくいヒマワリ油や、肌にやさしいアルガンオイルなどを原料として、化粧品
けしょうひん
やシャンプーなどがつくられています。
 インクや化粧品には、以前は石油化学系の原料が使われていましたが、環境意識
かんきょういしき
の高まりなどもあり、植物油が原料として注目されているんですよ。

 最近では、微細藻類
びさいそうるい
ユーグレナ(ミドリムシ)からつくられた油も実用化されています。今年6月には、使用済み食用油とユーグレナの油脂
ゆし
からつくられたバイオ燃料を使用した飛行機が初フライトに成功して話題になりましたね。

第2回読者編集会議参加者募集中!

 読者のみんなに「読んでみたい!」「やってみたい!」という企画を提案してもらって、編集部と一緒にワイワイ企画を練り上げる「読者編集会議」の第2回の開催が決定! 現在参加者募集中だ。

 キミの企画が子供の科学の特集記事になるかもしれない! 知りたいことや会いたい人など、自由に企画をつくって提案してほしい。

 参加方法などの詳細は「第2回「読者編集会議」参加者大募集!」をチェックしてね。キミの応募を待っているよ。

(文/戸村悦子)

子供の科学2021年8月号

夏の特大号は大人気の「謎解き」を特集! ひらめき力、注意力、分析力、推理力、持久力の5つの力を発揮して謎を解き、「つくり方」をマスターすれば、おうちでできる「脱出謎解き」も自作できます。さらに、型紙&解説書のW付録にも大注目! 前進だけでなく、後退や方向転換、回転も可能なロボット工作にチャレンジ。自由研究にも超オススメです! また、「読者編集会議」で2人の読者から提案された「古生物」と「植物油」の企画も。他にも夏休みをとことん楽しむ記事がいっぱいです!

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