『子供の科学』2025年7月号の特集「錯視立体で遊ぼう」で行った「錯視立体コンテスト」。みなさん応募してくれてありがとう!
応募してくれた作品に、杉原厚吉先生からコメントをいただきました。これからの錯視の作品づくりの参考にもしてくださいね。
1 作品紹介と杉原厚吉先生からのコメント
① 村井 恒介さん
作品:「上にのぼるテントウムシ」

作品紹介・コメント:2匹のテントウムシが枝を上っているように見える。実際に工作をすると細かい調整が必要で難しかった。
杉原厚吉先生より
「素晴らしい作品です。テントウムシというオリジナルの素材を選んだこと、木の枝が鏡の中の像とつながっているために本当の世界と鏡の中の世界がひとつにまとまっていること、背景の板も緑で統一されていつことなど、たくさんの工夫がされています。さらに、正面から見たときだけでなくて、斜めから見ても錯視が起こり続ける作品となっていることが感動的です」
② 村井 亮介さん
作品:「気が合わないバショウカジキ」

作品紹介・コメント:アイディアはすぐにできたが、形にするのがとても大変だった。完成が近づいて形ができてくると嬉しかった。弟と一緒に錯視のコンテストに参加できてよかった。
杉原厚吉先生より
「素晴らしい作品です。バショウカジキというくちばしに特徴のある形を、うまく尾びれと対応させているために、不思議さも大きいです。カメラ位置も鏡の向きもうまく調整されています。作品名も楽しいです」
③ 村上 峻二さん
作品:「鉄棒をする人の頭の位置が鏡にうつると逆向きになる。」

作品紹介・コメント:人の向きを調節するのが難しかった。
杉原厚吉先生より
「左右が反転する錯視の原理を90度回転させて、上下が反転する錯視に仕上げているところが素晴らしいです」
④ 三村 智子さん
作品名:「カブトムシの追いかけっこ」

作品紹介・コメント:自分の目で見ると錯覚に見えるけれど、スマホで写真を撮るのが難しかった。
杉原厚吉先生より
「独創的な作品に仕上がっていると思います。ネーミングも素敵です」
⑤ 藤井 敦子さん
作品名:「ふり向かない鶴」

作品紹介・コメント:7月号の錯覚道を参考にしました。鶴がうまく折れなくて苦労しました。スマートフォンで写真を撮るときに何度もやり直しをして難しかったです。
杉原厚吉先生より
「きれいに折れており、鏡の前への置き方と撮影の仕方もきれいです。原理が分かったと思いますから、次はオリジナルな作品作りに挑戦してみてはいかがでしょうか」
⑤ 秋山 渉 さん
作品名:変身四角柱「十字とH」

作品紹介・コメント:7月号の錯覚道を参考にしました。鶴がうまく折れなくて苦労しました。スマートフォンで写真を撮るときに何度もやり直しをして難しかったです。
※複数の作品をお送りいただきましたが、ここでは変身四角柱「十字とH」を掲載させていただきます。
杉原厚吉先生より
「三つともきれいにできていると思います。対称に作ると錯視が起こせるなどの原理が分かったと思いますから、次はオリジナルな作品作りに挑戦してみてはいかがでしょうか」
⑥ 笹木 徹 さん
作品名:変身四角柱「ボトルとワイングラス」

作品紹介・コメント:撮影がうまくできなくて、ボトルの下の方がちょっと失敗してしまいました。
杉原厚吉先生より
「立体の形はきれいにできています。撮影するときには、もう少しカメラを低い位置において、さらにもっとカメラを立体から離すと、ボトルの底の白いところが見えなくなって、きれいな画像が撮れます」
●杉原厚吉先生より、コンテストの講評
応募作品は、特集号で紹介した展開図をもとに作ったものと、オリジナルの立体を作ったものとの2種類に分かれました。オリジナルの立体を作った方は、おそらく特集号に掲載された展開図からいくつか作ってみて原理を理解したうえで、さらにそれを発展させたものだと思います。実際、オリジナルの作品はそれぞれ個性があり独創的で素晴らしいものでした。掲載された展開図から作ったものを応募された方も、作ってみることによって原理が理解できたと思いますから、それをもとにオリジナルな作品作りにも挑戦されるといいと思います。
2 錯視立体について、杉原先生、教えてください!
応募してくれたみなさんから、作品の報告とともに、質問もいただきました。錯視立体についての質問に、杉原厚吉先生に答えていただきました!
Q1 子供の科学7月号のP13にあるワインボトルの錯視の仕組みがわかりませんでした。どうなっているのですか?
A この特集の20ページに、「ボトルとワイン」の展開図が載せてあります。これをコピーして実際に作ってみると原理がよくわかると思います。
Q2 3歳のいとこは錯視立体を見てもあまりピンとこないようでした。錯視が見えるのに年は関係ありますか?
A あります。小さいお子さんは見たものをそのまま素直に受け入れます。生活経験を重ねるほど、見えたものと立体の形の対応を学習し、その対応から外れたとき不思議に感じます。ですから、錯覚は大人の方がよく起こります。