『子供の科学2025年7月号』の「ヘルドクターくられ先生のあやしい科学を疑え!」は読んでくれたかな? 本誌では収まりきらなかった、くられ先生の頭の中の徒然考えているお話を、コカネット限定で配信中! 本誌の連載とあわせて楽しんでね。
イラスト/obak(@oobakk)
お金の使い方
本誌では、お金ってなんだろうという話から、お金は人が他人のために使った時間の証明書であり、その証明書を得るためには、いろいろな積み重ねから来ているという話をしました。
ここでは、そのお金の使い方についてもう少し話を難しくしていこうと思います。
500円で漫画が買えるなら、漫画をつくった人たちが、その苦労と時間と工夫を500円と値付けしたわけです。でもケーキは食べたらなくなります。飴も同じ。それに比べて、本は読んだあとも残ります。さらに友達に貸せたり、売れたりしますよね。
同じ「500円」でも、何に使うかで「お金の意味」が変わるということです。
食べ物やガチャとか、すぐに消えてしまうものに使う、あとで役に立つこと(本や勉強、道具など)に使う、そもそも使わないで取っておく……お金を手にしたあとはいろいろな選択肢があるわけです。
そもそもお金の使い方にいい悪いもありません。
働いた自分のお金を競馬やパチンコに全部ぶちこんでスッテンテンになっても、それは本人の使い方なので、何も文句を付けてはいけないからです。バカな使い方はあっても、他人に迷惑をかけてない限り悪い使い方はないわけです。
それは人のメイクや服装だって、結局は本人の納得するように使ったわけなので、どんな変な格好してようが、収入に不相応なブランドバッグを持とうが、ハデハデメイクをしようが、その人の自由が尊重されるべきだからです。その人にとっては、高いバッグを持っているだけで仕事をがんばれたり、みんながドン引きするメイクも本人がカッコイイと思っていれば自由だからです。
ただ人のお金や、重要なお金をそういった用途に使うのはバカを通り越して罪深いわけですが、お金自体は何かの価値に交換しない限り、お金は謎の紙のままなので、使い方を考えることは大事なわけです。
「自分が何をしたいのか?」でバランスよくお金を使い分ける
お金はの使い方は、「消費」、「貯蓄」、「投資」の3つに分けられます。
「消費」は、経済が経済として廻るのに重要で、即物的に欲しいものをお金で解決することです。ケーキやジュース、ゲームのガチャでも、好きなライブに行くとか、楽しい遊園地に行くとか……お金を払えば、すぐに楽しい! これはお金の使い道の中で一番大事な部分ですが、先の3つの使い方の中で一番気をつけないと、残りの2つが廻らなくなってしまいます。
「貯蓄」は、いまは使わないけど、あとで大きなものを買いたいときのために貯めておくことです。「Switch2を買うために毎月500円ずつ貯金する」みたいな未来の消費のために、「病気で働けなくなったときのためのお金を貯めておく」いずれも未来の自分のための行動です。これは一見いいように思えて、一切の消費も許さない、一切の贅沢も認めない……といった厳しすぎる節制になってくると、そもそも楽しく生きることが人生の目的なのに、未来のために今に不必要な苦労まで増やすのはやり過ぎです。
そして3つめの「投資」。もちろん、株式とか仮想通貨とか不動産とかの「投資」も投資ですが、専門知識を付けるために大学に行く、専門書を買う、習い事を始める……これも「投資」です。
つまり投資というのは「自分」と「他人」に分けられます。
自分へ投資するということは、自分の価値を上げて積み重ねることで「将来の自分がより高い収入・能力・幸福を得られるように、今のお金や時間を使うこと」といえます。
資格取得のための講座を受けるなり、留学費用にあてるなり、良質な本を読むなり、専門知識を深めるだの、いい師や仲間を見つけるためにイベントや研修に行く、未来の健康のためジムに通ったり専門家のアドバイスを受けるなど……自分の積み重ねの価値を高めるための投資といえます。
仮に100万円の投資で、年収が将来的に30万円増えれば、それは「30%の利回りがある自己投資」と考えることができるわけです。そうも簡単にいかないですが、資格や勉強は投資の中ではかなり利回りがいいのでみんなが勉強したほうがいいよというわけです。
もちろん、100万円を払えば1000万円がすぐに手に入りますよ! という嘘の自己投資も存在します。情報商材やロマンス詐欺なんかは自己投資に見せかけた詐欺なので、自己投資もよく考えないといけないわけです。まぁ……100万円を払えば1000万円がすぐに手に入る方法があったら人には教えないで自分で使う方が儲かるわけでそもそも理論から破綻してるんですが(笑)
自己投資は、成果が見えにくく、実感が湧きにくく、投資先が自分なので自分がサボることができないという辛さがあります。当たり前なんですが。
それが嫌な人は、他人へ投資します。これが「他人への投資」企業やシステムを通じて、株式投資、投資信託、不動産、仮想通貨などは、他人のビジネスや資産に“お金を貸す”ことでリターンを得る行為です。株式を買うことで、その会社が儲かったら配当や値上がり益を得ることができます。比較的短期間で利益が出て、自分が働かずとも収益が発生する。つまり「お金」自身が働いて「お金」を得るという不思議な世界です。
しかし当たり前ですが、戦争、災害、経済危機などの外部要因で経済というものは簡単に揺れ動いて、簡単に元本割れを起こします。つまり働きに行ったお金がどこかで消えて帰ってこないわけです。
これは自分が働かなくて、人の労働に相乗りする形なので仕方ないわけです。さらに、投資の世界には、お金が集まるので、自己投資の世界とは比べものにならない数の詐欺や欺瞞が蠢いてます。それらの真贋を判断し、自分で運用するための判断をするには、やはり勉強が必要なわけです。
そういう意味で、「投資」も一筋縄ではなく、全体のバランスを考えて「使い方」を工夫していかないといけないわけです。
自分は資産形成の専門家でもなんでもなく、どちらかというと経済音痴のアホな消費者タイプなので、偉そうに語るような話はありません。
とはいえ、常に生きていく上で、次なにをしたいのか? を目標に、いろいろなことに挑戦して、その挑戦を支えるために細かい仕事をして、なんとか生きています(笑)
たぶん資産運用の専門家とかが見たら、卒倒するような無計画な生き方だと思います。
でもまぁ、そんな無計画なバカでも、これくらいはがんばればやっていける悪い見本として、1サンプルと捉えてもらえればな……ということで、今回この不得意なトピックを扱ってみました。


文
