『小説多動力』出版記念スペシャル 堀江貴文さんに聞く ロケット開発のおもしろさ

ホリエモンという愛称で有名な堀江貴文さんが、APeS Novels(エイプスノベルス)から、『小説 多動力』を出版しました。
この本は、2017年に出版され、現在までに発行部数が30万部を超えたビジネス書『多動力』を小説にしたものです。
このページでは、出版を記念して『子供の科学』2019年9月号で掲載された堀江貴文さんのインタビューの続きを読むことができます。

2019年9月号のインタビュー記事

2019年9月号のインタビュー記事はこちら

PDFダウンロード


小型衛星をつくっても宇宙に運べない

堀江さん達が次に目指しているのは、小型観測ロケットMOMOの商業化と、小型衛星打ち上げロケットZEROの開発です。MOMOは、高度100km付近の宇宙空間まで到達した後、地表に落下する準軌道(サブオービタル)で飛行をするロケットです。このタイプのロケットは、高度100km以上の宇宙空間で、宇宙観測や技術実験などを実施することができます。

ただ、現在、宇宙産業の中で一番需要があるのは、小型衛星を宇宙にまで運ぶためのロケットです。近年、半導体などの技術が向上してきたこともあり、重さ100〜200kgほどの小型衛星を安価につくることができるようになっています。さらに、もっと小さくて安価な超小型衛星もたくさんつくられる時代になってきました。
しかし、どんなにいい人工衛星が開発されても、宇宙に運べなければ意味がありません。現在、宇宙への輸送手段はとても少ない状態です。しかも、その多くは大型の人工衛星を乗せるためのもので、小型衛星を乗せるためのものではないのです。小型衛星は、大型衛星と相乗りで、宇宙まで運ばれているのが現状です。堀江さん達がつくったインターステラテクノロジズは、ZEROの開発により、ほぼ空白地帯となっている小型衛星用の輸送手段の開拓に挑みます。

小型衛星打ち上げロケットZERO

小型衛星打ち上げロケットZREOのイメージ図。今後、開発が急増すると予想される小型衛星の安価な打ち上げを目指している。(提供:インターステラテクノロジズ)


オープンイノベーションで新型ロケットを開発

「今、顕在化している小型衛星の打ち上げの需要からは、想像もできないくらいのマーケットが広がっていると思っている」と、堀江さんはこの事業に期待をかけています。民間企業による宇宙利用は、これから勢いを増していくことでしょう。その流れを阻む最大の要因が、莫大な打ち上げコストです。
現在、ロケットを1機打ち上げるためには、最低でも数十億円の費用がかかります。インターステラテクノロジズは、ZEROの開発を通して、人工衛星の打ち上げコストを一桁から二桁下げていきたいと意気ごみます。「僕らが考えてもいなかったようなアイデアを持っている人たちが、簡単に宇宙を利用できる環境がつくれればいいなと思い、チャレンジしています」と堀江さん。
人工衛星を打ち上げるZEROの開発は、MOMOよりもはるかに難しくなります。この困難に立ち向かうため、インターステラテクノロジズは、「みんなのロケットパートナーズ」というサポーター組織を立ち上げ、開発を加速していくといいます。これは、丸紅、北海道の大樹町といった企業や団体が、ZEROの開発を技術面、資金面などからサポートしていくという取り組みです。まさに、オープンイノベーションで、宇宙業界を変えていこうとしているのです。

みんなのロケットパートナーズ

2019年3月に開催された「みんなのロケットパートナーズ」の発足発表では、発起人の岡田武史さんやパートナー団体の代表者が集まって、鏡開きを行った。

この組織には、日本の宇宙開発をリードしてきた宇宙航空研究開発機構(JAXA)も加わっています。JAXAの協力によって、人工衛星の打ち上げに必要な新しいロケットエンジンの開発がスムーズに進むことでしょう。ZEROは2023年に初号機の打ち上げを目指しています。


甘くはない宇宙開発の現実

ZEROの開発をしっかりと行うためにも、MOMOを商業化し、収益につなげていくことが重要になります。MOMO3号機の成功の興奮が冷めやらない2019年7月、インターステラテクノロジズはMOMO4号機の打ち上げに挑戦しました。4号機は、燃料のアルコールに日本酒を混ぜる、チーズバーガー、サングラス、コーヒーを宇宙に運ぶ、宇宙空間で紙飛行機を飛ばす、といったこれまでの宇宙開発にはない遊び心や、個人の夢を実現するミッションがたくさん盛りこまれました。
「宇宙産業が大きくなっていく上では、まじめな用途だけではなく、不真面目な用途、エンタメの要素が、重要だなと思っています。インターネットはエンタメの用途に使われるようになって、急速に市場が拡大しました。それは宇宙でも同じで、僕たちが考えてもいないような宇宙の利用方法があると思います。そういうものを掘り起こす、1つのきっかけになればいい」と、堀江さんはその狙いを語ります。

MOMO4号機の打ち上げは、天候条件が合わず、姿勢制御用のエンジンのトラブルの発生などもあって2週間延期され、7月27日16時20分に打ち上げられました。ロケットは地上を離れ、雲の中に吸いこまれるようにしてきれいに打ち上がったものの、64秒後にロケットと地上局の間での通信が取れなくなってしまい、ロケットがエンジンを自動で緊急停止しました。MOMO3号機が到達した高度は13kmまでで、宇宙空間には届きませんでした。
打ち上げ直後の堀江さんは、残念そうな表情を浮かべなからも、「これがZEROで起こっていたら、数億円する機体を同じように失っていたかもしれない。そういうことを考えると、一桁安いロケットで失敗がたくさんできたことは、ある意味、ラッキーだったかな。もっと大きな場で失敗するよりかはましかな」とポジティブに受け止めていました。

2019年7月27日に打ち上げられたMOMO 4号機。発射場から打ち上がったものの、打ち上げから64秒後に緊急停止してしまった。(提供:インターステラテクノロジズ)


“多動力”でやりたいことをとことんやろう

今回のトラブルは、これまでの実験や打ち上げでは経験したことのないものでした。ロケット開発は、一度、打ち上げに成功したから、2度目も確実に成功するという甘いものではないことを見せつけられました。インターステラテクノロジズは時間をかけて原因を特定し、根本的な解決をしたうえで、よりよいロケットにしていこうと考えています。堀江さんは、ロケット開発の現場をつぶさに見て、「確実にみんな成長しているし、二度と同じ失敗をしない対策をとれるような体制はできているので、もっとスムーズに打ち上げることができるのではないかと思います」と5号機以降のMOMOの打ち上げ、そして、人工衛星を搭載するZEROの開発に期待を寄せています。

MOMO 3号機の打ち上げ直前の発射場にて、インターステラテクノロジズのメンバーの集合写真。誰もが宇宙に手が届く社会を実現するために、日夜ロケット開発に取り組んでいる。(提供:インターステラテクノロジズ)

『小説 多動力』は、異世界に転生したものの、現実の世界と同じように、あまりパッとしない若者が、「多動力」の教えをヒントに、自分のやりたいことに出会っていく物語です。この小説には、堀江さん自身の体験も踏まえて、IT企業、ロケット打ち上げに関係するエピソードがたくさん盛りこまれています。主人公の成長を通して、やりたいことをとことんやる多動力を実践する方法を知ることができるでしょう。
現実世界では、堀江さんが多動力を駆使して、日本で民間企業によるロケットの打ち上げを定着させようとしています。これから日本でも、ロケット打ち上げが特別ではなくなる日が来るかもしれません。それがどのように実現していくのか、そのヒントが『小説 多動力』にあります。『小説 多動力』から、人生を自由に生きるエッセンスを学んでいきましょう。

(取材・文/荒舩良考)

小説 多動力

四六判・296ページ
定価:本体1500円+税
ISBN978-4-416-71927-5

購入はこちら

『小説 多動力』 堀江貴文 著

「転生したらすべてがリセット、努力する必要もなくチートを与えられ、世界を救って一躍英雄に!」、なんて甘い考えは通用しない。
転生した先も現実社会と同様の社会構造が待っていたら、あなたはどうする!? そんな辛口異世界ファンタジーに、堀江氏が用意した答えこそ「多動力」。
異世界に行っても「タテの壁」がはびこるなら、自力でブレイクスルーする知恵と越えていく軽やかさこそが大切―――そんな堀江氏のメッセージが籠められた、エンタテインメント作品が完成!

ページトップへ