なぜ一週間の天気を予報できるの?

コンピュータと人間力の合わせワザ

現在の天気予報は、スーパーコンピューターを駆使した「数値予報」により成り立っています。天気図とか経験則とか統計データが中心だった昔に比べて格段の進歩をとげました。しかし、大気現象にはゆらぎがあり、それが天気予報のハズレとなってお叱りや非難をうけることになるわけです。

今から1秒後の天気予報はほぼ100%当たりますが、先へ行くほど誤差が生まれます。3日後、5日後、7日後になりますと天気予報と実際の天気にズレが生じ、そのズレの幅がだんだん大きくなることもあります。向こう1週間の天気予報、最高最低気温予想、1mm以上の降水確率予報は「週間アンサンブル予報モデル」という数値予報によって作成されています。水平間隔60km、鉛直総数60層という各格子点にデータを入れて、スーパーコンピューターによって物理計算すると、1日後、2日後…7日後にどうなるのかという図やデータが各種作成されます。それを予報官、気象予報士という人間力が科学的知識や研究心で総合判断して、「晴れときどきくもり」とか「くもり一時雨」とかの予報文にして発表します。向こう1週間の予報といっても明日、あさっての予報は、通常の短期予報を利用し、3日後からは週間予報の予報で組み立てています。なお、利用にあたっては毎日午前11時に、向こう1週間分の予報が気象台から発表になりますので、生鮮食品と同じように常に新しいものを利用してください。

週間アンサブル予想図(左図と右上図)と週間天気予報支援図 (右下図)
【週間アンサンブル予想図】
2日後から7日後までの予想天気図(地上)。網掛け部分は降水が予想される範囲。はじめは西高東低の冬型→移動性高気圧型→冬型→移動性高気圧型と変化して予想になっている。

【週間天気予報支援図】
当日から8日後までの上空約1500mの気温予想グラフ。11月第4週は札幌と館野(茨城)は前半は平年より気温が低めで、後半は平年並みかやや高め。福岡では週の後半に平年並みに戻る。沖縄は週半ばから平年よりやや高め。

提供:気象庁
戸山 九(気象予報士)

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