イメージトレーニングって本当に効果あるの?

イメージトレーニングの効果は多くの実験で証明されています

人間の脳は、想像で体を動かしたことと、実際に体を動かしたことの判断がつかないといわれています。バスケットボールのフリースローを使ったこんな実験があります。Aのグループはフリースローを実際に10回行い、Bのグループは体を動かさず、頭の中だけで10回練習を行いました。その後、実際にフリースローを行ったところ、どちらのグループも上達度が同じだったのです。このように、イメージトレーニングの効果を裏付ける実験は数多くあります。
イメージトレーニングはやればやるほど上達します。オリンピックを控えたスピードスケートの選手たちが、レース本番を毎日イメージするというトレーニングを行っていたことがあります。最初はイメージする映像はぼやけていましたが、訓練するうちに鮮明に見えるようになってきたといいます。氷の感覚や風や匂いまで感じられた選手もいたそうです。
イメージトレーニングは、特にけがをしたときに効果を発揮します。けがの治療をしながら、練習しているところをイメージすることで、練習量を補うことができるのです。イメージは自由なので、想像の中で一流選手と対戦したり、オリンピックの試合に出場したりすることもできます。
あえて苦しい場面をイメージする方法もあります。緊張している場面や、苦手な対戦相手と試合している場面を想像し、そこからどうやって抜け出したかまでを繰り返しトレーニングすることで、実際にその場面になったときでも、どう対処すればいいのかがわかるようになります。
幼稚園の運動会を見ていると、園児はゴール前で大体失速します。ゴールが見えると、そこで終わりと思ってしまうからでしょう。競走競技では、実際のゴールよりも先にゴールを設定しておくのがいいのです。ゴールを突っ切って走り抜けば、最後までスピードは落ちません。また、卓球やテニスの試合などで、あと1点取れば勝てる場面になったとします。ここで「勝ったな~」と思うと、逆転されることがよくあります。このときは、「あと2点で勝てる」と想像します。戦略として自分の中でわざと思い違いをしておくと、いい結果が出るのです。
(専修大学スポーツ研究所顧問 佐藤雅幸)

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