バナナの種はどこ?どんな形?

生食用バナナは種なし品種
果実内部に小さな種のなごりあり

バナナは、マレー半島やフィリピンなど熱帯アジア原産の果樹です。野生のバナナの果実には小豆大の種子(種)がいっぱい詰まっていますが、私たちが普段食べているバナナには、そのような種は見あたりません。それは、現在の品種が種なし品種だからです。

果実の中心部をよく見ると、小さな黒いツブツブが多く見えると思います。これが種のなごりです。種なしバナナは人類の栽培と選抜によりつくられたものですが、歴史は古く、紀元前5000年にはすでにあったとされています。野生のバナナを集めて栽培や交配をするうちに、花粉がつかなくても大きな果実になる株を見つけ、さらに花粉の出ない株をさがして、種が入らず大きな果実になり、食べやすくておいしい品種ができたものと考えられています。

では種がないのにどのようにしてふやすのでしょうか。実はリンゴやナシなど他の果樹でも、品種改良をする場合以外は種でふやしません。それぞれの作物でふやし方は異なりますが、挿し木や株分けなど、親株の一部から再生させる方法を用います。バナナの場合は、通常、株もとに生えてくる『吸芽』という子供を切り離して次の苗にするのです。

バナナ果実の種子。中心部に帯状に並ぶ。

小さくて形もさまざまな市販バナナの種子のなごり(発芽能力はない)。

丸尾 達 (千葉大学園芸学部 准教授)

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