ものが濡れるとなぜ色が濃くなるの?

白い光の乱反射が減るため

まず、ものの色が見えるしくみを考えよう。白い光にはさまざまな色の光が含まれていて、物体に当たると特定の色の光だけが反射する。他の色の光は吸収され、その特定の色がものの色として見える。例えば赤い物体では、他の色の光が吸収されて赤だけが目に届くので、赤く見えるわけだ。
このとき、物体の表面にとても細かなデコボコがあると、光はいろいろな方向に反射する(乱反射という)。これは物体に吸収される前の白い光なので、反射する光には白い光が多くなる。反射した光全体で見ると、少し白っぽくなり、色が薄く見えることになる(図1)。
でも、ものが濡れると表面に薄い水の膜ができ、デコボコが埋まってなめらかになる。すると、表面の乱反射が減るため、反射して目に届く光から白い光が減り、もので反射した特定の色がよくわかるようになる(図2)。濡れると色が濃くなるのではなく、色を見えにくくしていた白い光の乱反射が減るということなんだ。
(山村紳一郎)

図1 白い光も多く反射する。

図2
表面がなめらかになり、白い光の反射が減る。

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