カブトムシはどんな雑木林にもいるわけではない。クヌギやコナラの混じった広葉樹の雑木林に暮らしているんだ。スギやヒノキなどの針葉樹林はパス! まずは昼間のうちに、広葉樹の雑木林を探そう。うっそうとした山奥の森でなくても大丈夫。河川敷や広い公園などの、ちょっとした雑木林でOK。たいてい、クヌギは生えているはずだ。
雑木林を見つけたら、クヌギの木を見つけよう。幹よりも葉で見分けるのがわかりやすいよ。細長い楕円形で、フチがギザギザしているのが特徴だ。実際に雑木林に足を運んで、葉や幹の特徴、樹形、生え方などを意識しながら見てまわれば、遠くからでも見分けられるようになるぞ。
クヌギの林を見つけたら…カブトムシGETまで50%をクリアだ!
これがクヌギの葉だ。クヌギの他にもカブトムシが樹液を吸う木はあるが、まずはクヌギを見分けられるようになろう。
整備された公園でも、何本かのクヌギが見つかればカブトムシがいる可能性はある。まずは近くの公園をチェックしてみよう。
クヌギが好物のミヤマカミキリ。こいつがいたら、そばにクヌギの木がある可能性が高いぞ!
クヌギの樹液を見つけよう クヌギだからといって、どんなクヌギにもカブトムシがくるわけではないぞ。「樹液」が出ているかどうかがポイントなんだ。
たいていのクヌギは、太くまっすぐで、表面に傷もない。それが健康な姿なのだからあたりまえなんだけど、樹液を出すクヌギは、見た目がちょっと違う。木の皮がめくれたり、コブや樹洞があったり、ねじれていたり、ツタなどの他の植物と絡み合っていたり…と、不健康そうな感じのクヌギを探そう。そしてどこかに樹液がにじみ出ていないかをチェックするんだ。樹液さえ見つければ、もうカブトムシはつかまえたも同然。90%クリア!
樹液探しは、「目」でなく「鼻」でもできる。雑木林を歩いていると、どこからともなく、甘酸っぱいにおいがただよってくることがあるはずだ。樹の根元や目線より高い場所も含めて、そのにおいの元を探り当てるんだ。
足元の低い場所にも要注意。夜の雑木林には、あまり長くいたくない。昼間のうちに樹液の場所を探しておき、夜はまっすぐその場所に向かうようにしよう。
皮のめくれた部分に、樹液を好むルリタテハが近づいている。こんな場所に、夜にはカブトムシがやってくるんだ。
ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲなどをみつけたら、迷わずついて行くべし! 樹液の場所に案内してくれるかもしれないぞ。
クヌギの傷ついた部分にヨツボシケシキスイを見つけたら、そこからは樹液が出ている可能性が高い。見逃すな!
昼間のうちにクヌギの樹液を何か所か探し当てたら、日没を待って、行ってみよう。夜行性のカブトムシは、日没以降に活動を開始するんだ。
真夏だけれど、服装は長袖長ズボンがオススメ。足元もサンダルはやめよう。蚊や毛虫、植物のトゲなどの被害を防ぐためだ。他、カブトムシを持ち帰るケースや、赤い光のライトも忘れずに。特にクワガタは、急に明るいライトで照らしたり木に振動を与えたりすると、ポロッと落ち、「擬死」(死んだふり)をする。こうなると、夜の雑木林で探し出すのは難しい。赤いライトだと、こういう事態を防げるんだ。
準備ができたら、いよいよ採集に出かけよう!
夜になり、コクワガタが活発に活動を始めた。昼間は見かけなかったのに、夜にはあちこちの樹の幹に見つけることができたぞ。
足を縮めて擬死(死んだふり)をするコクワガタ。夜の雑木林では、この状態で下に落ちたらかなり見つけにくくなってしまう。
用意するもの
■捕虫網
基本的にはいらないが、高い場所にいるカブトムシやクワガタを捕まえるのに使える。
■容 器
捕まえたカブトムシは、1匹ずつ分けて持ち帰ろう。
一緒にするとケンカをはじめ、弱ったり傷ついたりしてしまう。
■軍 手
木を触るのにあったほうがベター。
■赤いライト
赤セロファンなどを懐中電灯にかぶせるだけでもOK。
樹液の場所についたら、赤いライトでそっと照らしてみよう。カブトムシが夢中で樹液を吸っているはずだ! カブトムシの他にも、クワガタやカナブンなどなど、たくさんの昆虫が集まっている場合もある。スズメバチ、ムカデ、ゴキブリなどがいる場合もあるので要注意だ!
お目当てのカブトムシを慎重に捕まえたら、ケンカ防止のために個別にケースに入れて、持ち帰ろう。持ち帰るのは、責任をもって飼育できる数だけ。捕り過ぎてはいけないぞ。
カブトムシたちの生活の場に踏み行って、直接観察しながら採集するのは、とても楽しい。この夏、キミもぜひ、夜の雑木林に出かけてみよう!
樹液に来ていたカブトムシ。樹液を争って格闘中! こんな自然の姿を観察できるのが、樹液に来るカブトムシを捕まえる楽しみの一つ。お店で買ったりトラップで捕まえたりするより、何倍も楽しいよ!
ケースのフタはしっかりとめないと、力の強いカブトムシは簡単に脱走してしまう。短時間なら大丈夫だが、長時間ケースに入れる場合はフタに呼吸用の小さな穴をいくつか開けておこう。
樹液は、手の届かない高い場所からしか出ていないということもある。どうしても樹液が出ているクヌギが見つけられない…というときは、バナナトラップを仕掛けてみよう。バナナをストッキングに入れて軽くもみ、焼酎をかけてしばらくおいておくだけで完成だ。中身は市販の「昆虫ゼリー」でもいい。
トラップの効果は高く、カブトムシやクワガタをはじめ様々な昆虫が寄ってくるが、樹液が出ているクヌギをみつけられたら、仕掛ける必要はない。カブトムシたちにとっては、樹液の方が何倍も魅力的だから、みんな樹液に行ってしまうんだ。
なお、仕掛けたら必ず回収すること。昆虫がストッキングに足を絡ませてそのまま動けずに死んでしまうケースがあるんだ。
いらなくなったストッキングにバナナを入れる。皮はむかなくてもOK。
軽くもみほぐしてやわらかくする。
焼酎をかける。
ビニール袋に入れて日向にしばらく放置する。
夕方、適当な木にくくりつけておく。夜になったら見に来よう。
最初のお客さんはスズメガ(クルマスズメ)!
ニオイに誘われてカブトムシもやってきたぞ!