風船をふくらませたあと、手を離して空気が 抜けていくとき、ぐるぐるまわるのはなぜですか?

空気の吹き出し口が重心からずれているため

たとえば、ダンボールの箱を投げるところを考えてみよう。箱の中心(正確には重心)に向かって力がかかるように、箱の面のまん中に手を当ててまっすぐ押し出すと、箱はまっすぐに飛ぶ。でも、手を当てる場所を左右にずらしたり、力をくわえる方向、つまり手を動かす方向を斜めにすると、回転する向きの力がはたらいて、箱は回転しながら飛んでいくことが想像できるはずだ(図ア)。

ゴム風船が飛ぶときも同じしくみだ。ふくらませた風船が飛んでいくのは、吹き出す空気と反対の向きに力(反動)がはたらくため。このとき、空気が風船の中心(正確には重心)から真後に向かってまっすぐ吹き出せば、風船はまっすぐ進んでいく。でも実際には風船は少しゆがんでいるので、吹き出し口は中心からずれている。また、吹き出し口の向きもまがって斜めになっているため、空気を吹き出して生まれる力(反動)は、風船の重心にまっすぐにははたらかない。このために風船には回転する向きの力がはたらいて、くるくると回転しながら進んでいく…というわけだ(図イ)。

山村 紳一郎 (サイエンスライター)

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